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2021年07月23日

映画『ジョーカー』が、なぜ私の胸をえぐるのか

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2019年の公開時、話題になっていた映画『ジョーカー』 (原題:Joker)。
アメコミの『バッドマン』の悪役として登場するあのジョーカーが、「なぜジョーカーになったのか」を描くヒューマンドラマです。

当時、私は見る勇気がなくて(怖そうだし、見たら苦しくなりそうだし…)、「絶対見るもんか」って思っていた。
でもその考えは、180度変わります。

同じく2019年、参加していたコルクラボの勉強会で、コルクの佐渡島庸平さんと、小学館の少女コミックSho-Comi編集長の畑中雅美さんの対談を聞いた時、まず佐渡島さんが投げた会話が
「『ジョーカー』見ました?」でした。

その質問を聞いて、「そっか、ジョーカーはやっぱり話題なんだ。畑中さんが観てなかったらどうするんだろう」と、浅はかな感想を抱いていたところ、
畑中さんの回答に、衝撃を受けました。

「当然」

その時思ったのは、「話題になっている映画は、自分の好みがどうかに限らず『観る』べきもなのだ」ということでした。
それが、メディア界で働く人間として、“当たり前”のことなんだと思い知りました。


『ジョーカー』を見損ねてしまってから2年、アマゾンプライムで配信になったことを知り
観ました。

衝撃でした。
これは、映画公開時に観るべきだったと思いました。



話は少し変わり、『バッドマン』の映画が日本で公開されたのは1989年。
当時私は4歳でした。

その頃、幼稚園で一緒のクラスだった友達の家で、確かVHSだったと思うのだけど、
バッドマンのレンタルビデオが流れていて、それがものすごく怖かった印象があり、
「バッドマン=怖い」のイメージが植え付けられました。

最近になって、バッドマンは教養程度に知っておこうと思い、
一応映画で見ました。やっぱり怖かったし、何より、ジャック・ニコルソン演じる「ジョーカー」がめちゃくちゃ怖かった…

なので、私は特にバッドマンにも、ジョーカーにも思い入れのない人間なのですが、
この映画『ジョーカー』は観るべきだと感じました。


先ほども書きましたが、これは「ヒューマンドラマ」です。
主人公のアーサーは、おそらく40代後半で、持病を抱え、母の介護をし、不安定な仕事をし、恋人はもちろん、友人と呼べる人間はいないに等しいーー。

社会の底辺にいる、そんな存在の人間です。
「これまで一度も幸せを感じたことがない」という台詞があったのですが、
物理的にも精神的にも、幸福感がどのようなものか、経験したことがない人間なのだと想像します。


そんなアーサーの気持ちやアーサーがいる環境は、「ふつう」に暮らしている私のような人間には
想像がつかない、理解しえないと感じたんです。

映画の主人公であるアーサーを俯瞰すると、似た境遇の人はこの世にたくさんいると思います。
市長に立候補するウェインが、アーサーの状況も心境もわかろうとしなかったように
私は物書きの人間として、社会の辺境にいる人のことをどれだけ考えていたのか、どれだけ知ろうとしていたのかと自問自答してしまいました。

その事実に、私は胸をえぐられました。

ストーリーだけではなく、アーサーを演じるホワキン・フェニックスの表情や演技は抜群ですし、
彼がガリガリの体躯で舞うシーンは、魅入ってしまうほど美しい。

賛否両論ある作品ですが、私は「賛」を送りたいです。




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bubba_gump at 17:11|PermalinkComments(0)

2020年06月21日

令和版「東京ラブストーリー」を観て打ちのめされる


昔から「東京ラブストーリー」というドラマがあることは知っていました。
でも、どんな内容かとりわけ興味はなく、ただタイトルを知っているだけでした。

現代版(2020年配信)があると知り、「どんなものかな」とAmazonプライムで観たところ、
どハマりをしてしまいました。

あ、数日前、「三上健一」役の清原翔さんが脳出血で緊急手術をしたとか‥
今回、ドラマを観て、なんてかっこいいのかと思っていた俳優の方だったので、
無事であることを祈るばかりです‥

話がそれましたが、「東京ラブストーリー」、長いから東ラブ、
面白かったです。面白かったけど、切なかった。

最終話を夜更かしして観てしまい、翌日起きた時は
打ちのめされた気分になっていました。

それほど、ハマったのだなと思います。

男女の恋愛模様、すれ違いが絶妙に描かれていて
それぞれの登場人物に、少なからず共感してしまいました。

あの終わり方は、突き止めたら、ハッピーエンドだということはわかっています。
わかっているけど、やっぱり切ないって思ってしまう。

「カンチー!」と、いつもはじける笑顔の赤名リカ役の石橋静河さんは、
見れば見るほど可愛いなって思えてくる方でした。

天真爛漫さで、意志が強い女性ゆえの孤独に、胸が締めつけられました。
リカの決断はきっと正解なのだけど、やっぱり悲しいって思ってしまう。

カンチこと伊藤健太郎さんも、田舎から出てきたときと、最後の方と、
表情がどんどん変わっていく様子が見事だと思いました。

柴門ふみさんの原作も、読んでみたいな。

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https://www.fujitv.co.jp/tokyolovestory/

関口さとみ役の石井杏奈さんはE-girlsの方とは!
役にハマっていたと思います。
主題歌の「Vaundy」と挿入歌の「I found myself」も作品を盛り上げてくれていました。





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bubba_gump at 01:18|PermalinkComments(0)

2019年11月19日

”Life is like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.”


学生時代、尊敬する先輩から
「映画1000本観たら、映画を語れるようになる」と聞きました。

それから、年間見る本数を決めて、それを月割りし、
ノルマのように見ていました。

結果、これまで見た本数は1000本を超したと思います。

数ある映画の中で、時々もう一度見たくなる作品というのがあります。
『フォレスト・ガンプ』
です。

映画の冒頭、一枚の羽根が空中を舞って、地上へと落ちていくシーンからはじまります。
最後まで見て、この羽根が人生というもののメタファーなのかなと思うんです。

フォレストは知能数が低く(おそらく自閉症スペクトラム障害)、
ピュアで思いやりのある真っすぐな人間です。

周りからいじめられたり、バカにされたりするけれど、自然と彼の前には道が拓けていくんです。
フォレストに欲があったかというと、そうではありません。

強いていうなら、ずっと好きだったジェニーに会いたいという気持ちくらいでしょうか。
私利私欲はないけど、結果的に「勝ち組」になっていきます。

フォレストをはじめ、登場人物の人生を見ていると
運命ってあるのかなって思ったり、なりゆきに任せる人生もいいのかな、って思ったり

つまりは、人生ってわからない、ということを思い出させてくれます。

映画の中で、”Life is like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.”
(人生はチョコレートの箱ようなもの。食べるまで中身がわからない)
というフレーズが出てくるのですが、まさにその通りだと思います。

行き詰った時、肩に力が入っている時、この映画を観ると
気持ちが穏やかになるし、もっと気楽にいこうって思える。

努力することはもちろん大事だけど、流れに身を任せるのも大切。
そういうことを教えてくれる映画です。

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映画の中では、ケネディ大統領やベトナム戦争、ウォーターゲート事件など
歴史的な出来事も絡んでいるところが面白いポイントの一つです。

あと、トム・ハンクスがめっちゃ若い。

 

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bubba_gump at 19:20|PermalinkComments(0)

2019年02月25日

2019年1,2月観た映画

積極的に映画を観よう、と心がけ
アマゾンプライムの見放題にお世話になっています。

今年(1~2月)観た映画のまとめ。
お風呂の中にスマホを持ち込んで観てます。
(湯舟の中に落とさないことを祈って…)

勝手ながら、★5つで評価しています。


①ユージュアル・サスペクツ
★★★★★
脚本が素晴らしい!「カイザー・セゾ」最後までわからなかった。
今まで見た映画の中でベスト10に入る。

②パタリロ!

ギャグについていけなかった…

③ショーシャンクの空に
★★★★
言わずと知れた名作。過去に一度見たけど内容を忘れたため(ひどい…)もう一度。
最後が明るいから好き。

④レオン
★★★★
やっと見れた。ナタリー・ポートマンの演技がハンパない…
切ないけど、美しく、魅力的な作品。

⑤ステキな金縛り
★★
三谷幸喜作品は向き不向きがあると思うけど、
これはあまり好きではなかったなぁ。途中で飽きてしまった。

⑥愛のむきだし
★★★★
満島ひかりと西島隆弘の演技がすごい…!
ストーリーも映像も衝撃的。

⑦ベンハー
★★★
名作を抑えておきたく鑑賞。おそらくCGは一つも使ってないと思うので
その作りこみがすごいと思いました。

⑧ゴッドファーザーⅠ
★★★★
アル・パチーノってこんなにかっこよかったんだ!と衝撃を受けた。
演技もかっこいいし、名作と言われるゆえんがわかりました。

⑨ルーム
★★★
人間の心の機微が描かれている。
でも、観て1か月で、観た内容の記憶が薄れてきている…

⑩エヴァンゲリヲン新劇場版:序
★★★
見てみかったエヴァ。「使徒」の”気持ち悪さ”がツボ。
よく思いつくなと感心してしまう。

⑪エヴァンゲリヲン新劇場版:破
★★★
続きが見たくなった。

⑫イミテーション・ゲーム
★★★★★
実話に基づいている作品。
最後は悲しいけど、心をつかまれました。

⑬ファッションが教えてくれること
★★★★
「VOGUE」編集長のアナ氏を追ったドキュメンタリー。
包み隠さず撮っているところがすごい。

⑭セッション
★★★
音楽がいい。映画館で観たかった。

⑮フローズン・タイム
★★★
アーティスティックな映画。

⑯2001年宇宙の旅
★★★★
1968年の作品だけど、AIが既に描かれている。
最後は哲学的で理解が難しかったけど、名作だなと思った。

⑰スリーピングビューティー
★★★
女子大生と、金持ち老人たちの心がエグく、リアルに描かれている。

⑱燃えよドラゴン
★★★
ブルース・リーは見れば見るほどかっこいいと思える。

⑲バッドマン
★★★★
幼稚園のころに見て、怖すぎてトラウマになった映画。
今見ても怖いと思う!でも迫力あり。

⑳フィフティ・シェイズ・ダーカー
★★★
3部作の2作品目だったためストーリーがつかめないところが
あったけど、俳優陣が美男美女で見とれた。

㉑シャイニング
★★★★
観たかった作品。噂通り、怖い!
人間の狂気が描かれている。

ということで、印象に残っているのは『ユージュアル・サスペクツ」と
「イミテーション・ゲーム」でした。

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(アマゾンより)
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(アマゾンより)

今年はまだ劇場に行けてないので、レディースデイを使って行きたい…!



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bubba_gump at 01:17|PermalinkComments(0)

2017年03月22日

映画『この世界の片隅で』


やっと見てきました。『この世界の片隅で』。

見たかったんだけど、戦争を描く内容に、何かを"突きつけられる"気がして、
避けていたところもありました。

結果、やはりそうでした。でも、見れてよかった。

「すずさん」というひとりの女性を通して、戦争を描いた作品。
すずさんの絵を描くことが好きなところが、私も文を書くことが好きなことと重なり、
社会的状況によって表現することが制限されてしまったら…と考えると
とてもつもない苦しさを覚えました。

この作品のいいところは、人の温かさ。
みんな、心がきれい。
それに救われました。

戦争映画は、きっといくらでも悲惨に描くことはできるのだろうけど、
『この世界の片隅で』は現代を生きている私たちが共感できる、登場人物に自分を重ねられる、
そんな映画でした。

実写ではなく、アニメーションだからこそ、想像力がよりかきたてられた気がしました。
主題歌を歌っていたコトリンゴの歌声もよかったです。


 


すずさんと結婚した周作さん、本当に素敵な旦那さんだと思いました。








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bubba_gump at 19:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)