「おめでとう」ってたたずむ-豊島美術館-

2010年12月13日

それぞれの事情

それぞれ、人には「事情」がある。

表向きは明るいけど、本当は影をかかえてたり、
チャラい素振りをしてるのに、実はまじめだったり、

その逆もしかり。

今回の身体の事で、自分だけ悩み苦しんでたと思ってたけどそうじゃなかった。
自分の身体のことを語ってくれた方たちがいて、みんなそれぞれ向かい合って生きてるんだって思った。

話してくれなかったら、絶対に気付かない。気づく由もない。
それでもみんな、それを内に秘めて生活している。


そのことと角田光代の『空中庭園』を読んだ感想とが
オーバーラップしました。

「人にはみな事情がある」ということを面白可笑しく、そしてシビアに描いている作品です。

外からは仲の良い「完璧な家族」に見える、4人家族。
しかし、それはあくまでも外ツラ。内情は・・・フクザツ極まりない。

でも、それにベールをかけて暮らしている。
印象深かったのが「逆オートロック」っている表現。


"外部の人間には閉ざされたドアが、自由に出入りできる家の中に存在している。

-略-

その鍵は外部に対して閉ざされているのではない。身内の侵入を防いで閉ざされているのだ。

-略-

ドアそれぞれの向こう側に、きっとグロテスクでみっともない、しかしはたからみたら
ずいぶんみみっちい秘密がわんさかひしめいていて、
これから先ずっと繁殖しつつひしめき続けるのだろう。"


『空中庭園』は、そんな"円満な家庭"に見える4人の不協和音を奏でている、
っていうのがメインテーマかもしれない。

でも、わたしはそれだけじゃないと思うんだ。

人には誰でも「事情」がある。
それは他人に知られてくないものから、誰かに理解してもらいたいものまであると思う。

それは本人次第なんだけど、その「理解してもらいたいもの」を理解してくれる存在というのが「家族」なんじゃないかな。そうであって欲しいと私は思うんだけどね。


060401_1


ふと思ったんだけど、映画『アメリカンビューティー』と似てるなって。
良い意味で「似てる」ってことだけど。
どちらも言いたいことが似通っているっていう印象を受けました。

おまけ

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bubba_gump at 21:34│Comments(0)TrackBack(0)伝えたいこと | book

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