artisticでありentertainerである映画『この自由な世界で』

2009年02月21日

ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』

ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』
参照wiki:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8A%E8%BC%AA%E3%81%AE%E4%B8%8B

「校長からギーベラントの父親や教授や助教授にいたるまで、

義務に励精する少年指導者たちはいずれもみな、ハンスの中に

彼らの願を妨げる悪い要素、悪く凝り固まったなまけ心を認め、

これを押さえて、むりにも正道に連れ戻さねばならないと思った。

たぶん例の思いやりのある助教授を除いては、

細い少年の顔に浮かぶとほうにくれた微笑の裏に、

滅びゆく魂が悩み溺れようとしておびえながら

絶望的に周囲を見回しているのを見るものはなかった。

学校と父親や二、三の教師の残酷な名誉心とが、

傷つきやすい子どものあどけなく彼らの前にひろげられた魂を、

なんのいたわりもなく踏みにじることによって、

このもろい美しい少年をここまで連れてきてしまったことを、

だれも考えなかった。なぜ彼は最も感じやすい危険な少年時代に

毎日夜中まで勉強しなければならなかったのか。

なぜ彼から飼いウサギを取り上げてしまったのか。

なぜラテン語学校で故意に彼を友達から遠ざけてしまったのか。

なぜ魚釣りをしたり、ぶらぶら遊んだりしたのをとめたのか。

なぜ心身をすりへらすようなくだらない名誉心の空虚な低級な

理想をつぎこんだのか。なぜ試験のあとでさえも、

当然休むべき休暇を彼に与えなかったのか。



いまやくたくたに疲れた小馬は道ばたに倒れて、

もう何の役にもたたなくなっていた。」


(ヘルマン・ヘッセ著 高橋健二 訳、『車輪の下』、
新潮社、昭和26年発行 Pg.145)


読んで、一番胸が苦しくなった箇所の引用。
『車輪の下』★★★★☆

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at 21:00│Comments(2)book 

この記事へのコメント

1. Posted by ?   2009年02月22日 00:20
もしかして、お疲れがたまっていますか?
たまにはしっかりゆっくり休養して、
自分を労わってあげてくださいね。
2. Posted by ?さまへ   2009年02月22日 19:20
お気遣いありがとうございます{笑顔}
んー、ごめんなさい!
あなたがどなたか特定できません{汗}
この人かな~と推測はできるんですが・・・
間違ったら嫌なんでやめときます(笑)
何はともあれ、わたしは大丈夫です{キラキラ}
またぜひぜひコメント寄せてください。

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